基本情報技術者・午後過去問(2018秋)・解答例についてソースコード付きで解説します。
## 【設問1】列車の運行をシミュレーション
次のC言語プログラムの説明及びプログラムを読んで,設問1~3に答えよ。
本問は,図1に示す路線構成の鉄道模型における列車の運行をシミュレーションするプログラムである。表1は,図1の説明である。
図1
– | 列車を進行させるルール |
---|---|
1 | 各列車は,あらかじめ決められた始発駅から,あらかじめ決められた終着駅を行先として,路線を後戻りすることなく進行する。 |
2 | 一つの区間には,同時に一つの列車しかいることができない。 |
3 | 各区間の入口には信号機があり,赤又は緑を表示する。 |
4 | 各列車は,終着駅を出口とする区間にいるときは無条件に進行できる。終着駅を出口とする区間にいる列車が進行した場合,その列車は路線上から取り除かれる。 |
5 | 各列車は,現在いる区間の出口で接続する区間(以下,次区間という)が次の条件をいずれも満たしたとき,次区間に進行できる。 (1)次区間の信号機の表示が緑である。 (2)次区間に進行すると,最終的には行先とする終着駅に到達できる。 |
6 | 次の二つの処理を繰り返し実行して各列車を進行させる。 (1)路線を構成する全ての区間の信号機それぞれについて,区間内に列車がいるときは表示を赤に,列車がいないときは表示を緑にする。 (2)路線を構成する全ての区間それぞれについて,次の処理を行う。 (ア) 終着駅を出口とする区間に列車がいる場合は,(4)に従って列車を進行させ,路線上から取り除く。 (イ) (ア)で述べた以外の区間に列車がいる場合は,(5)に従って進行できる列車を進行させ,進行した区間の信号機の表示を赤にする。 |
– | 構造体 block_info(鉄道模型の区間を表現) |
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train | 区間内にいる列車を表現した,構造体 train_info へのポインタである。区間内に列車がいないとき,NULLを設定する。 |
next | 次区間を表現した,構造体 block_info へのポインタを格納する配列(配列の大きさは2)である。終着駅を出口とする区間では,いずれの要素にもNULLを設定する。次区間が一つしかなければ,そのポインタは最初の要素に設定し,2番目の要素にはNULLを設定する。 |
signal | 信号機に表示する色を示す。次のいずれかの定数値をとる。 RED 表示は赤 GREEN 表示は緑 |
– | 構造体 train_info は,鉄道模型の列車を表現 |
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number | 列車の番号である。 |
dest | 列車の終着駅を出口とする区間を表現した,構造体 block_info へのポインタである。 |
– | 関数 set_signals の仕様 |
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機能 | 全ての区間の信号機それぞれについて,区間内に列車がいるときは表示を赤に,列車がいないときは表示を緑にする。 |
引数 | blocks 全ての区間を表現した,構造体 block_info の配列 nblock blocks の要素数 |
プログラム
#include <stdio.h> #include <stddef.h> #define RED (0) #define GREEN (1) struct train_info { int number; /* 列車番号 */ struct block_info* dest; /* 列車の終着駅を出口とする区間 */ }; struct block_info { struct train_info* train; /* 区間内にいる列車 */ struct block_info* next[2]; int signal; /* 信号機の色 */ }; void set_signals(struct block_info[], int); void set_signals(struct block_info blocks[], int nblocks) { int i; struct block_info* block; for (i = 0; i < nblocks; i++) { block = &blocks[i]; if ((a)) { block->signal = GREEN; } else { block->signal = RED; } } }
(a)の解答群
(イ)block->next[1]->train == NULL
(ゥ)block->next[0]->train == NULL || block->next[1]->train == NULL
(エ)block->next[0]->train == NULL && block->next[1]->train == NULL
(オ)block->signal == RED
(カ)block->train == NULL
(キ)block->train != NULL
解答1
a=カ
## 【設問2】
関数 proceed は,進行できる全ての列車を進行させるプログラムである。プログラム2中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
(プログラム2の説明〕
– | 関数 proceed の仕様 |
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機能 | 全ての区間それぞれについて,進行できる列車がいるかどうかを判定し,進行できると判定された列車を進行させる。終着駅を出口とする区間にいる列車を進行させた場合,その列車を路線上から取り除く。出口で他の区間と接続する区間にいる列車を進行させた場合,進行した区間の信号機の表示を赤にする。 |
引数 | blocks;全ての区間を表現した,構造体 block_info の配列 nblocks;blocksの要素数 |
– | 関数 proceed から呼び出される関数 find_block の仕様 |
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機能 | 引数 block で示す区間が,引数 dest で示す区間に最終的に到達できる経路上にあるかどうかを判定する。 |
引数 | block 判定対象の区間を表現した,構造体 block_info へのポインタ dest 列車の終着駅を出口とする区間を表現した,構造体 block_info へのポインタ |
返却値 | 到達できるとき,1 到達できないとき,0 |
#include <stddef.h> void proceed(struct block_info[], int); int find_block(struct block_info*, struct block_info*); void proceed(struct block_info blocks[], int nblocks) { int i, j: struct block_info* block; for(i = nblocks - 1; i >= 0; i--) { block = &blocks[i]; if (block->train == NULL) { continue; } if ( [b] ) { block->train = NULL; continue; } for(j = 0; j < 2; j++) { if (block->next[j] == NULL) { continue; } if (block->next[j]->signal == RED) { continue; } if (find_block(block->next[j], block->train->dest) == 1) { block->next[j]->train = block->train; block->next[j]->signal = RED; block->train = NULL; [c] } } } } int find_block(struct block_info* block, struct block_info* dest) { int i; if(block == dest) { return 1; } for(i = 0; i<2; i++) { if (block->next[i] == NULL) { continue; } if (find_block( [d] ) == 1) { return 1; } } return 0; }
(ア)block->train->dest == NULL (イ)block->train->dest != NULL (ウ)block == block->train->dest (エ)block != block->train->dest
c に関する解答群
(ア)break (イ)continue (ウ)return
d に関する解答群
(ア)dest ,block (イ)dest,block->next[i] (ウ)block, dest (エ)block, block->next[i] (オ)block->next[i], dest (カ)block->next[i], block
– | 【解答】b=ウc=アd=オ |
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b | 「block->train = NULL;lはその区間にいる列車を取り除く処理で、「このblockにいる列車の終着区間がこのblockの区間」である時の処理なので、「このblockにいる列車の終着区間がこのblockの区間」であるかどうかを調べるための条件文が入ります。この区間にいる列車に対するtrain_info構造体はblock_info構造体のtrainポインタが指すアドレスに存在するので、この区間に対応するblock_info構造体をblockとすれば下記によりこの区間内にある列車を特定できます。よって「block == block->train->dest」が正解。 |
c | ①returnを実行するとこの時点で関数が終了することになり、「全ての区間」に対して列車移動を行う必要があるproceed関数の仕様を満たさず不適。 ②continueが実行された場合、for ( j = 0; j < 2; j++ ) {に戻り、次の j に対するループ処理が実行され、「次のループ時にも下記の条件文が実行されcontinueをする直前にblock->trainにNULLが格納されNULLアクセスしてしまう」ことから不適。③breakは、列車を移動した直後に j に対するループを抜けるよう実行するので正しい。 |
d | block_info構造体にはnext[0]とnext[1]ポインタがあり、このポインタから次区間をたどることが可能。再帰処理を用いてblockのnext[0]もしくはnext[1]が指すblock_info構造体のnext[0]もしくはnext[1]が指すblock_info構造体の・・・・といった感じでnext[0]とnext[1]をずっと辿っていくことでdestにたどり着けるかどうかを判断しています。よって第1引数としてはblock->next[i]を次のblockとして指定するのが正しく、第2引数のdestはそのままで良いいので、「block->next[i], dest」となります。 |
## 【設問3】
図1に示した鉄道模型の路線構成及び列車位置を表現した,構造体 block_info の配列を 第1引数とし,その要素数 9 を第2引数として,プログラム3を実行した。 プログラム3の実行が終了したときの状態について述べた次の 記述中の[e][f]に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。 ここで,blocks[n] は区間 n を示す。
〔プログラム3〕
void start(struct block_info[], int); void start(struct block_info blocks[], int nblocks) { int i; set_signals(blocks, nblocks); for (i = 0; i < 4; i++) { proceed(blocks, nblocks); set_signals(blocks, nblocks); } }
列車4がいるのは区間[e]である。 また,区間[e]の出口で接続する区間は[f]。
ア 0 イ 2 ウ 3 エ 7
f に関する解答群
ア ーつあり,その信号機は緑を表示している
イ ーつあり,その信号機は赤を表示している
ウ ニつあり,それらの信号機はいずれも緑を表示している
エ 二つあり,それらの信号機はいずれも赤を表示している
オ ニつあり,それらの信号機は,一方が緑を,もう一方が赤を表示している
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